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映画『道行き』映画『道行き』

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2月13日㊎より
ヒューマントラストシネマ有楽町、
テアトル新宿

2月20日㊎より シネ・リーブル神戸
2月27日㊎より テアトル梅田
近日公開 ナゴヤキネマ・ノイ、
京都シネマ
ほか全国順次ロードショー

Trailer

Introduction

時間は進み続ける汽車のようなもので、
私たちはいつも違う駅で降りなければならない。

李相日、石井裕也、早川千絵、山中瑶子ほか錚々たる映画監督を輩出してきたぴあフィルムフェスティバル(PFF)が商業デビュー作を送り出すPFFプロデュース作品(旧称:PFFスカラシップ)。
最新作『道行き』の監督・脚本・編集を務めるのは、『おばけ』でPFFアワード2019グランプリを受賞、本作でJAPAN CUTS(ジャパン・カッツ)最優秀作品にあたる「大林賞」を受賞するなど海外でも高い評価を得ている中尾広道
大阪市から奈良県御所市(ごせし)に移り住み、地域の人々との交流のなかで見聞きした自らの体験をもとに、在りし日の町の様子や流れる時間から立ち現れる豊かさ、懐かしさを丁寧につむぎだす。

奈良の御所市ごせしを舞台に心の奥に眠る大切な風景をよびさます
モノクロームでつづられる豊かな時間を探す夢幻の旅

中尾監督の分身ともいえる主人公・駒井を演じたのは、ミュージシャンとしても活動し、俳優業では、大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合)の藤原行成役や2026年3月には沢田研二とのW主演のロック音楽劇「ガウディ×ガウディ」が控えるなど映画、ドラマ、舞台と話題作への出演が続く渡辺大知。駒井に町について語り聞かせる隣人の梅本役には、謙虚な語り口とたたずまいに惚れ込んだ中尾監督からの熱烈なオファーを受け実現した、役者としては映画初出演となる、人形浄瑠璃文楽の人形遣いで重要無形文化財保持者(人間国宝)の桐竹勘十郎。二人が好演する駒井と梅本の語り合いが心地よいリズムとなりやさしい時を刻んでいく。

Story

駒井は奈良の古民家を購入し、
改装の準備のために
大阪から引っ越してくる。

元所有者である梅本は、
駒井に町の歴史や古い屋敷について語り、
駒井も自ら町をたずね歩く。

改修工事が徐々に進むにつれ、
過去の出来事やかつて存在した
古びたものたちから
少しづつ埃が払拭されていく――。

Profile

駒井 役

渡辺大知

わたなべ・だいち

1990年8月8日生まれ、兵庫県出身。2009年田口トモロヲ監督映画「色即ぜねれいしょん」(2009)主演にてデビュー、第33回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」、「まれ」、「ちむどんどん」、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、「いだてん」、「光る君へ」、映画「くちびるに歌を」(2015)、「勝手にふるえてろ」(2017)、「正欲」(2023)、「市子」(2023)、舞台「ねじまき鳥クロニクル」(2020/2023)などに出演。近年の主な作品としてはテレビ朝日「トラベル・ナース」、映画「遠い山なみの光」(2025)、「アフター・ザ・クエイク」(2025)、2026年3月にロック音楽劇「ガウディ×ガウディ」の公演を控えている。また、映画初監督で作品「モーターズ」(2015年公開)ではPFFアワード2014審査員特別賞を受賞。短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS season3」、「SHINPA」などにも参加。ロックバンド「黒猫CHELSEA」のボーカルとして活動中。

梅本 役

三世 桐竹勘十郎

きりたけ・かんじゅうろう

1953年大阪生まれ。1967年文楽協会人形部研究生になり、三世吉田簑助に入門、吉田簑太郎を名乗る。1986年咲くやこの花賞、1988年大阪府民劇場賞奨励賞、1999年松尾芸能賞優秀賞。2003年父・二世桐竹勘十郎の名跡を継ぎ、三世桐竹勘十郎を襲名。2008年芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章、2010年日本芸術院賞。2021年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定。2025年3月日本芸術院会員。著書に「なにわの華文楽へのいざない 人形遣い桐竹勘十郎」(淡交社)「一日に一字学べば…」(コミニケ出版)などがある。

梅本の祖父 役

細馬宏通

ほそま・ひろみち

1960年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了(動物学)。行動学者、早稲田大学文学学術院教授、滋賀県立大学名誉教授。日常会話、映像作品、音楽、マンガなど、さまざまな場面、分野におけることばと身体動作の時間構造を研究し視聴覚文化史と地誌を組み合わせた論考も数多く手がけている。著書に『フキダシ論』『二つの「この世界の片隅に」』『浅草十二階』『絵はがきの時代』(青土社)、『うたのしくみ』(ぴあ)、『いだてん噺』『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社)、ELAN入門(編著/ひつじ書房)、『介護するからだ』(医学書院)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮社)、『絵はがきのなかの彦根』(サンライズ出版)など。バンド「かえる目」ではボーカル、ギター、作詞・作曲を担当している。

時計店の客 役

大塚まさじ

おおつか・まさじ

1950年大阪生まれ。1969年大阪・難波元町に、喫茶「ディラン」を開店。ここに西岡恭蔵、中川イサト、友部正人、加川良等多くの若者たちが集い、現在も継続中の大規模な野外コンサート「春一番」が始まる。1971年 永井ようと「ザ・ディランⅡ」を結成。「男らしいって解かるかい/プカプカ」でレコードデビュー。1974の解散までに5枚のアルバムを残す。1976年 「遠い昔ぼくは…」でソロデビュー。以来、毎回趣の異なるアルバムを発表し続けている。1985年 1年で日本を一周する唄の旅、全国ひとり旅ツアーを開始。俳優として、NHK銀河ドラマ「この指とまれ」、NHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」に出演。2014年 谷口正晃監督の「父のこころ」に主演。著書にエッセイ集「月の散歩」「月の道標」「旅のスケッチ」など。

Director’s Interview

中尾広道

――作品のテーマとしての「時間」に関心を持ったのはどういう経緯からですか。

中尾広道 ユクスキュルの「生物から見た世界」という本を読んで「環世界」という概念に興味を抱いていました。人間が知覚する時間、空間、色彩、光と、犬、ハエ、ダニ、鳥、魚などが知覚するそれらは異なるものであり、すべての生物が独自の知覚や作用をもって、それぞれを取り巻く世界「環世界」で生きているという内容でした。
この本に触発されて、時間感覚についての映画を撮りたいと思いました。最初に試みたのは人間の時間、鳥の時間、虫や魚の時間といった、それぞれの生物の知覚時間を描く連作短編を構想しました。人や虫だけでなく、石とか、山とか、星とかが感じている時間で出来た映画を並べてみようと。しかしそれは何度試みてもうまくいきませんでした。

――そこからどうやって現在の形になったのですか。

中尾 ある時、江戸時代に生まれた和時計(櫓時計)というものに出会いました。西洋の機械時計の仕組みに、当時の日本の時刻制度である「不定時法」を取り入れた時計です。日本では、明治初頭まで太陰暦や不定時法といった、月の満ち欠けや太陽の動きに合わせた暮らしをしていました。そんな自然のリズム「不定時法」を「からくり」で捉えようと試みた時計職人たちのクリエイティブな精神、斬新な機構、意匠、探究心などに大きな衝撃を受けました。
その頃、僕は大阪市住吉区から奈良県御所市に引っ越しました。蔵のある家で映画を撮りたいと思い、良い物件を探して、青森からずっと回っていたのです。御所市に掛け軸の裏に隠し扉がある家を見つけ、「ここだ」と思いました。二階建ての蔵があり、二階と一階の床は簡単に取り外しができて滑車で荷物の上げ下ろしができる。船底のような天井や不思議な雰囲気の茶室がある。他にも「からくり」を感じさせる機構や造作が多く見受けられました。梅本さんという方の自宅だったのですが、その半分を譲り受けました。隣人になった梅本さんはよく僕の家にやってきて、ウソかホンマかよく分からない、いろいろな面白い話をしてくれました。梅本さんのお話を聞くうちに、この不思議な話と古い時計屋の話を組み合わせて、この町に関する映画を作ればよいのだと思いました。幸いこの町には、大正5年創業の古い時計屋さんが今も営業されており、何度か取材をさせていただきました。

――梅本役に文楽の桐竹勘十郎さんを起用されたのはなぜですか。

中尾 2023年春、梅本さんをモデルにした主人公を誰に演じてもらおうかと悩んでいました。最初は噺家さんがいいと思い、それから年配のミュージシャンを探したりもしましたが、いずれも決め手に欠けました。キャスティングとは別に、町の歴史を文楽の演目で見せようと思っていました。文楽には時代物、世話物、景事という3種類の演目がありますが、音楽や踊りを見せる景事ならば、映画に組み込みやすいと考えました。
僕は以前から文楽が好きで、人形遣いの方の講演を聴きに行っており、舞台では声を発しない彼らが、実はとてもたおやかで魅力的に話されることを知っていました。特に桐竹勘十郎さんがまとう雰囲気に圧倒されていました。文楽の技芸員の方々は、先人が作ったものを現代に合わせて伝えていくのが仕事だという認識を持っておられます。だから過去のことを語る時にものすごく謙虚で丁寧です。勘十郎さんにオファーしたのは、その謙虚な語り口とたたずまいに尽きます。

――鉄道のシーン、なぜ岐阜県の樽見鉄道を使ったのですか。

中尾 以前から撮影したいと思っていました。何度も乗りに行きました。片道1時間かかるのですが、一日乗車券を買って何往復もしました。全部で50往復くらいしたでしょうか。樽見鉄道は電車ではなく、ディーゼルで動く気動車なのですが、僕はディーゼルエンジンの駆動音や振動、車窓からの眺め(内燃車なので架線がない)が大好きなんです。根底には樽見鉄道の沿線風景に魅せられた感動があります。

――タイトルは文楽を想起させる「道行き」です。これはどうやって決まったのですか。

中尾 最初は「それぞれがそれぞれの道を行くこと。旅をすること」という意味合いで、仮に、つけていました。文楽協会様に協力を仰ぎに行った際、『道行き』というタイトルに反応されていました。浄瑠璃の世界では、登場人物が連れ立って旅をする場面、とかく心中や駆け落ちを想起させる、馴染み深い言葉だったからです。それがきっかけで、再度タイトルの意味と向き合いました。
「道」とは人や獣や霊の行き交うところであり、進むべき目的の意味があります。「行く」は目的のところに向かって進行すること、歳月などがすぎて行くこと、「死ぬ」(いぬ)とも意味の近い語、遠く離れて消えゆくような状態です。登場人物や風景に投影していた意味や役割と重なり、改めてこのタイトルでいくべきだと確信しました。

――「面売り」という(文楽の)演目を映画の中に取り入れたのはなぜですか。

中尾 舞台となった御所の町は、400年ほど前に形成され、商売人の町として大いに発展を遂げました。そんな町人文化が花開いた江戸時代の風景を、観客に想起させるために、文楽の演目の1シーンをそのまま取り入れることにしました。
町の歴史は「面売り」の登場人物のような、名もなき商売人たちの日々の営みの集積によって繋がれてきたのだと思います。ある時、御所の町の目抜き通りで商人たちが福助の面をかぶって練り歩いている、一枚の古い写真に出会いました。実際にこの町で「面売り」のような光景が繰り広げられていたのだと感じ、この演目を撮影しました。

――主人公の役に渡辺大知さんをキャスティングした理由を教えて下さい。

中尾 僕のキャスティングは、演者その人に魅力がある人、というのを基準にしています。駒井と言う人物を演じてくれた大知さんもそうです。2019年に「おばけ」でグランプリを受賞した際の受賞上映会場でお会いしたのですが、その時の距離感の心地よさが印象に残っていました。舞台も拝見したんですが、やはり距離の取り方がとてもよかった。
勘十郎さん演じる梅本と、駒井の関係を、僕は祖父と孫、師匠と弟子のようには見えてほしくありませんでした。大知さんは最初に想定していた駒井の年齢とは違っていましたが、この二人なら大丈夫だと思いました。この映画では、大知さんは芝居経験のない人ばかりと話すことになります。そんな時に大知さんの距離感がぴったりだと感じました。

監督・脚本・編集

中尾広道

なかお・ひろみち

1979年、大阪市住吉区生まれ。2013年に友人の映画撮影を手伝ったことがきっかけで、自身でも映画制作を始める。2015年の『船』で「ぴあフィルムフェスティバル/PFFアワード」入選。2017年の『風船』でPFFアワード入選、オーバーハウゼン国際短編映画祭出品(ドイツ)。2019年の『おばけ』でPFFアワード グランプリ受賞、フィルマドリッド最優秀賞受賞(スペイン)、全州国際映画祭(韓国)出品など。本作『道行き』ではJAPAN CUTS大林賞(最優秀作品賞)を受賞。2022年に奈良県御所市に移り住み、暮らしの中で見えてくる映画を探るように制作をしている。

Theater

※上映時間および詳細は、各劇場へお問い合わせください。 ※劇場情報は随時更新いたします。

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Credit

第28回PFFプロデュース作品

『道行き』

<出演者>

渡辺大知、桐竹勘十郎、細馬宏通、田村塁希、大塚まさじ、
上田隆平、梅本 修、清水弘樹、中井将一郎、中山和美、ちょび

<人形浄瑠璃 文楽「面売り」>

作詞・作曲:野澤松之輔|振付:藤間勘寿朗|面売り:豊竹呂勢太夫|案山子:豊竹靖太夫、豊竹亘太夫、豊竹薫太夫、竹本織栄太夫、鶴澤藤蔵、鶴澤友之助、野澤錦吾、鶴澤燕二郎、鶴澤清方

〈人形役割〉

面売り娘:吉田勘彌|おしゃべり案山子:吉田玉佳|人形部:吉田簑紫郎、吉田玉翔、吉田玉延、桐竹勘昇|その他:人形浄瑠璃文楽座|はやし:望月太明藏社中

<製作>

矢内 廣、堀 義貴、佐藤直樹、五十嵐 博、矢嶋弘毅

<スタッフ>

プロデューサー:天野真弓|監督・脚本・編集:中尾広道|撮影:俵 謙太|照明:福田裕佐|録音・整音:松野 泉|美術:塩川節子|衣装:田口 慧|ヘアメイク:根本佳枝 |助監督:内田知樹|撮影助手:高畠 隆|撮影応援:竹内 宏|照明応援:児玉 淳、石川翔也|美術応援:山口 晃三朗、藤原達昭|ヘアメイク応援:宮崎智子|スチール応援:内堀義之|監督助手:今井綾乃|制作:勝木 駿|制作応援:仙田麻子 |車両応援:米屋 麿|コンフォーム:原田権也|グレーディング:安澤翔太|オンライン:菅野祥代|スタジオエンジニア:深井康之|アシスタント:佐藤博貴|DCP作成:原武之|ポスプロコーディネート:鈴木裕美|タイトル制作:津田輝王、関口里織|雪の結晶撮影:若林浩樹|星空の映像提供:国立天文台、朝日新聞社|アニメ―ション:キヤマミズキ|アニメーション音楽・効果音:松田圭輔|題字:桐竹勘十郎|美術協力:トライフル西荻窪、神戸時計デザイン博物館、藤井謙昌、梅本 修|撮影協力:樽見鉄道株式会社|撮影場所協力:中井家住宅(有形登録文化財)、梅本家、中山家、中尾家

<技術指導>

時計修理:寺山和弘|改修工事:有家宗隆|資料提供:カメヤ時計店、中村呉服店|取材協力:文元征二|8ミリ機材協力:宮川真一|脚本考証:時の研究家 織田一朗

<音楽>

『マカラプア』バッキ―白片とアロハ・ハワイアンズ(テイチクエンタテインメント)
『猫目唄』作曲:細馬宏通

<協力>

池田益子、井上晴男、小原 治、高崎裕史、高橋秀和、西川長昭、藤野直計、三井秀樹、山本訓子、吉田 圭一郎、
公益財団法人 文楽協会、一般社団法人 人形浄瑠璃文楽座、独立行政法人日本芸術文化振興会 国立文楽劇場、有家住建、石上神宮、井上印房、葛城一言主神社、油長酒造、高取町役場、松竹映像センター

<スカラシップメンバーズ>

ぴあ(木戸文夫)、ホリプロ(津嶋敬介、宮川宗生)、日活(永山雅也、福家康孝、安達 泉)、電通(藤田浩幸、佐藤祐亮、五十嵐真志)、博報堂(野村明男、徳永悠太、細谷まどか)、PFF(松井浩之、荒木啓子、石川 毅)

制作プロダクション:エリセカンパニー|配給:マジックアワー

第28回PFFプロデュース作品
2025年/白黒/80分/DCP/ヨーロピアンビスタ
英題:Michiyuki-Voices of Time

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